JR西日本、15年ぶりの秋のダイヤ改正

令和3年(2021)10月2日、JR西日本のダイヤが改正されます。秋のダイヤ改正は、なんと15年ぶり。いつもならば、毎年3月に全国のJR全社一斉にダイヤ改正がされます。他のJR各社は今秋でのダイヤ改正はなく、JR西日本のみです。なぜでしょうか? JR西日本は、所有する山陽新幹線と京阪神の在来線で売上の9割を稼いで、残りの在来線の赤字を埋めている構造、本当は儲かるところだけで営業したいのでしょう。でも、利用客や国、行政とか通学の高校生とか…に配慮して、とりあえず来年3月のダイヤ改正の前に軽く様子を、というところでしょうか。

今週のダイヤ改正が織り込まれた時刻表が発売されました。ひとまず、読み込みましょうか。

では、また!

地方ローカル線の今後のあり方 ~10年後の未来が1年で~

JR西日本 207系

2021年(令和3年)3月13日、JR各社のダイヤ改正が行われました。前にも少しお話しましたが、明るい話題もちょっと暗い話題もありました。首都圏と京阪神の終電繰り上げがテレビのニュースでも取り上げられていましたが、各社のダイヤ改正の詳細を読んでいくと、実は“運行本数の見直し”や“運転区間の見直し”などがあちこちに記載されていたのです。日本の鉄道はどうなっていくんでしょうか。ちょっとだけ鉄道に詳しい一般人目線で考えてみたいと思います。

2020年はコロナという恐ろしい外敵によって、人々の移動が強烈に制限された一年でした。人が動いてなんぼという鉄道業界においては、これまでにないくらいの影響を被り、2021年3月決算ではJR・私鉄各社共に大幅な赤字となる予想です。JR東日本で4,500億円、JR西日本で2,400億円の赤字、そりゃ、旅客収入がざっくり半分になったんですから、自助努力でなんとかなるレベルでもありませんね。このコロナ流行による落ち込みは長期化しそうで、JR東日本の社長は今年度(2021年・令和3年)の鉄道営業収入は「コロナ前の8割強程度」、JR西日本も“秋のダイヤ改正”に言及するなど、利益回復は相当厳しいようです。

「10年後の未来が1年で来た状況であり、一過性ではない行動変容が拡大しつつある。」

JR西日本の社長が今年2月の記者会見でこう発言しました。どういうことでしょうか? JR西日本は、山陽新幹線と京阪神エリアの在来線で9割以上稼ぎまくり、残りの地方ローカル線のすべての赤字を穴埋めする、という収益構造です。その稼ぎ頭の新幹線と京阪神で乗客が半減となれば、ジリ貧経営なのは素人でもわかりますね。JR東日本も首都圏と新幹線で、JR東海も東海道新幹線で、それぞれ赤字のローカル線を維持していますから同じようなもの。

「これまで内部補助によって成り立ってきたローカル線の今後のあり方について、課題提起をスピードアップする」

JR西日本の社長はこうも発言しました。これから続く人口減少に先に、いつか近い未来に迎えようとしていた状況が、一気にやってきてしまいました。乗客がほとんどいないローカル線を、廃止を含めて地元と議論を進めていきたいのが本音ではないでしょうか。とは言え、鉄道は社会の基幹となる交通インフラ、されど民間の営利企業… JRも自治体もそして住民も、これからの地域交通について先送りせず考えていく必要があるかもしれませんね。

JR西日本 どこでもきっぷ (とくとくきっぷ)

今春、JR西日本から“JR西日本 どこでもきっぷ”が発売されます。JR西日本エリア内の新幹線や特急などが乗り放題! “週末のみ”“2人から”などの制約はなし、GWも使えちゃいます! 鉄道を満喫、そして、鉄道を応援、私も乗りまくる予定ですよ! もちろんコロナ感染対策は万全に…

では、また!

JRダイヤ改正(2021年)② ~ドル箱路線の終電繰り上げ~

前回に引き続き、2021年(令和3年)3月13日に行われたJRダイヤ改正について思うところをお話したいと思います。前回は東北・北海道・上越・北陸新幹線の1分短縮の明るいお話をしました。もう一つの今回の大きなニュースは、首都圏と京阪神で行われた終電の繰り上げでしょうか。

JR東日本とJR西日本のドル箱エリアである“首都圏”と“京阪神”では、早朝から深夜まで列車が走りまくっています。朝4時台から日付を跨いだ深夜1時台まで運転されています。終電が0時を回るのが当たり前、終点には1時台に到着するのも当たり前です。そりゃ、JR東日本でいうと首都圏以外の在来線はすべて赤字路線、JR西日本も同様に京阪神以外の在来線はすべて赤字、ドル箱で稼いでその他の路線の赤字を埋めるという構造ですから、サービス向上には余念がありません。

話を戻しましょう。特に終電時刻の繰り上げが大きい主な路線を羅列すると、

【首都圏(JR東日本)】

京浜東北線 東京発 大宮行き 0:00 (30分繰り上げ)

中央線快速 新宿発 高尾行き 0:00 (30分繰り上げ)

【京阪神(JR西日本)】

JR京都線 大阪発 京都行き  0:00 (25分繰り上げ)

JR神戸線 大阪発 西明石行き 0:04 (24分繰り上げ)

など、ほぼすべての路線で繰り上げが行われました。それでも、日を跨いで運転しているのことにはかわりありませんが… 実はこれ、JR各社は前々から終電を繰り上げたいと言っていたんです。1987年(昭和62年)の国鉄民営化後、JR各社は余剰職員の圧縮のため、新卒の採用を凍結していました。JR西日本では約15年も凍結しています。これは現在のJR各社の職員の構成にもはっきりと表れており、ベテラン世代と若手世代の間に、ぽこっと人がいない世代の谷のようなものが存在しています。これが技術の継承不足や慢性的な人員不足の原因とされており、終電から始発までの間に保守・点検作業をする充分な作業員を確保できずに、現場は非常に厳しい状況だと言われています。

しかし、昨年からのコロナ禍により鉄道の利用客が激減、2020年度(令和2年度)はJR東日本で▲47%、JR西日本で▲52%減りました。お客さんがほぼ半減ですね。これによって、保守・点検作業の効率化と終電繰り上げで経費を抑える、とはっきりと言えるある意味いいタイミングではなかったのではないでしょうか。実際に年間数十億円の経費節減になるようです。

2021年のダイヤ改正では、JR東日本とJR西日本だけでなく、JR各社で運転本数や運転区間、運転日や繰り上げ・繰り下げなどの“見直し”が行われました。当面コロナ禍以前の状況へは戻ることはなさそうです。これからどのように方向転換していくことになるのでしょうか。またそのあたりもお話できたらと思います。ちょっと暗い気持ちになりましたが、コロナに負けず…

では、また!

E5系 @JR東日本 東北新幹線

JRダイヤ改正(2021年)① ~上野-大宮間で1分短縮!~

2021年(令和3年)3月13日、恒例のJRダイヤ改正が行われました。個人的に一番明るいニュースは、東北新幹線の“上野~大宮間”のスピードアップでしょうか。

東北新幹線の開業の際に、騒音の問題などによって揉めに揉めて国鉄と住民側とが合意した110㎞/h制限が、開業40年近くを経た今、ついに130㎞/hへと引き上げられました。…抱き合わせ合意で開業した埼京線の方が爆音をまき散らしているというのはここだけの話… これによって、東北・北海道・上越・北陸新幹線の所要時間は“1分”短縮されました。「え、たかが1分でしょ? 全然すごくないじゃない!」と侮るなかれ。東北や北海道、新潟、そして今や長野を通り越して北陸の金沢まで新幹線が延びています。10年後には札幌まで延伸予定の東北・北海道新幹線にとって、所要時間短縮は至上命題。上野~大宮間の130㎞/h区間・整備新幹線の260㎞/h区間・青函トンネルの140㎞/h区間、スピードアップには小さな改善をコツコツと積み上げていくことが欠かせないんです。

1992年(平成4年)、東海道新幹線に300系のぞみがデビュー、それまで100系ひかりで東京~新大阪が2時間52分掛かっていたところが、2時間30分に大幅短縮しました。東京を出ると次は京都という“必殺 名古屋飛ばし”なんていう裏技も炸裂しましたが(当時の名古屋市長は激怒しちゃいました…)、コツコツとブレーキシステムやATC(自動列車制御装置)、加速性能、列車傾斜装置、騒音低減…など1分刻みの短縮努力を積み重ね、品川・新横浜停車が基本となったにもかかわらず、2015年(平成27年)には2時間22分を達成しています。

JR東日本は、2019年(令和元年)から新しい試験車両(愛称:ALFA-X)を使い360㎞/hの営業運転に向けて走行試験を繰り返しています。そのスピードを活かすためにも、今回の1分短縮は、“たかが1分されど1分”大切な1分なのです!

ダイヤ改正についてはさらっとさわるくらいに考えていましたが、悪い癖であれこれお話してしまいました。ということで、気が済むまでダイヤ改正についてお話していこうと思っていますので、今日のところはひとまずこのあたりで…

では、また!

荒川鉄橋を渡るE233系 @JR東日本 埼京線