2025年4月26日

未来技術のショーケース!万博を彩るイノベーションとサステナビリティ【第4回:技術と持続可能性】

0

未来技術のショーケース!万博を彩るイノベーションとサステナビリティ【第4回:技術と持続可能性】

osaka castle museum during sunset in autumn

Photo by Nguyen Hung on Pexels.com

大阪・関西万博は、単なる展示会ではありません。それは、未来社会を形作るであろう最先端の「イノベーション(技術革新)」が集結するショーケースであり、同時に、地球との共生を目指す「サステナビリティ(持続可能性)」を追求する壮大な実験場でもあります。第4回となる今回は、万博会場で体験できるであろう驚きの未来技術と、万博全体を貫くサステナビリティへの取り組みについて、詳しくご紹介します。

万博で出会える!未来を彩る先端技術

「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」というコンセプトが示す通り、大阪・関西万博では、様々な分野の先端技術が実際に導入され、来場者はそれを体験することができます。ここでは、特に注目される技術分野をいくつか見ていきましょう。

1. 次世代モビリティ:移動の概念が変わる

万博会場へのアクセスや会場内の移動において、未来のモビリティ技術が活躍します。

  • 空飛ぶクルマ(eVTOL): 万博の目玉の一つとして期待されているのが、「空飛ぶクルマ」の実用化です。電動で垂直離着陸が可能なeVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)が、会場と関西国際空港などを結ぶエアタクシーとして、あるいは会場内の遊覧飛行などに活用される可能性があります。都市部の渋滞解消や、新たな移動体験の提供が期待されます。
  • 自動運転バス・パーソナルモビリティ: 会場内では、AIが運転する自動運転バスが巡回し、来場者の移動をサポートするでしょう。また、小型の自動運転パーソナルモビリティも導入され、より自由で快適な移動体験を提供するかもしれません。これらの技術は、将来の交通システムや、高齢者・障がい者の移動支援に繋がるものです。
  • 水素エネルギー・燃料電池車(FCV): 環境負荷の低減を目指し、水素をエネルギー源とする燃料電池バスや乗用車が、会場アクセスや運営車両として活用される可能性があります。水素エネルギー社会の実現に向けた取り組みを間近で見ることができます。

2. AI・ロボット:社会のあらゆる場面で活躍

AI(人工知能)とロボット技術は、万博会場の運営から展示、サービスに至るまで、あらゆる場面で活用されるでしょう。

  • 多言語対応AIガイド・コンシェルジュ: 多様な言語に対応するAIアバターやロボットが、会場案内、展示解説、質疑応答などを行い、外国人来場者を含む全ての人が快適に過ごせるようサポートします。
  • 警備・清掃ロボット: 広大な会場の安全確保や環境美化のために、自律走行する警備ロボットや清掃ロボットが導入されます。人手不足の解消や、効率的な会場運営に貢献します。
  • 展示・エンターテインメントへの活用: パビリオンの展示では、AIが来場者の反応に合わせて内容を変化させたり、ロボットがパフォーマンスを披露したりするなど、インタラクティブで没入感のある体験が提供されるでしょう。石黒浩プロデューサーのシグネチャーパビリオンでは、人間そっくりのアンドロイドが登場することも期待されます。
  • データ分析による最適化: 来場者の行動データや会場内の混雑状況などをAIがリアルタイムで分析し、効率的な誘導やリソース配分を行うことで、快適な鑑賞環境の維持に貢献します。

3. VR/AR/MR:現実と仮想の融合

仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)といったXR(クロスリアリティ)技術は、これまでにない新しい体験を生み出します。

  • 没入型展示体験: VRゴーグルを装着して、普段は行けない場所(深海、宇宙、人体内部など)を探検したり、過去や未来の世界をリアルに体験したりできる展示が登場するでしょう。
  • ARナビゲーション・情報表示: スマートフォンやスマートグラスを通して会場を見ると、ARによって道案内が表示されたり、展示物に関する情報が現実空間に重ねて表示されたりするサービスが提供されるかもしれません。
  • メタバースとの連携: 万博会場をデジタル空間上に再現した「バーチャル万博」が構築され、遠隔地にいる人もオンラインで万博の一部を体験したり、アバターを通じて会場内の来場者と交流したりすることが可能になります。リアルとバーチャルの垣根を越えた、新しい形のイベント参加が実現します。

4. 先端医療・ヘルスケア:健康で豊かな人生のために

「いのち」をテーマとする万博では、健康寿命の延伸や質の高い医療を実現するための技術も重要な要素です。

  • 遠隔医療・オンライン診療: 会場内に設置されたブースで、遠隔地にいる医師の診察を受けられるデモンストレーションが行われるかもしれません。過疎地の医療アクセス改善などに繋がる技術です。
  • ウェアラブルデバイスと健康管理: 心拍数や活動量などを計測するウェアラブルデバイスとAIを連携させ、個人の健康状態をモニタリングし、パーソナライズされた健康アドバイスを提供するサービスが紹介されるでしょう。
  • 再生医療・ゲノム編集: iPS細胞を用いた再生医療や、ゲノム編集技術の最新の研究成果などが、分かりやすく紹介される可能性があります。難病治療やアンチエイジングへの応用が期待されます。

5. その他注目技術

上記以外にも、以下のような様々な先端技術が展示・活用されることが予想されます。

  • 次世代通信(IOWN/6G): NTTが提唱するIOWN構想や、さらにその先の6G通信技術が、大容量・低遅延の通信環境を実現し、様々なサービスの基盤となります。
  • バイオテクノロジー・新素材: 環境負荷の少ないバイオプラスチックや、高機能な新素材などが、建築物や製品に活用されるでしょう。
  • 未来の食(フードテック): 細胞培養によって作られる培養肉、植物由来の代替肉、昆虫食、あるいはAIが個人の栄養状態に合わせて最適なメニューを提案するシステムなど、未来の食卓を支えるフードテックが紹介されます。

これらの技術は、単に目新しいだけでなく、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」にどのように貢献するのか、という視点で提示されることが重要です。技術の持つ可能性と同時に、倫理的な課題や社会への影響についても考える機会となるでしょう。

地球との共生を目指して:万博とサステナビリティ

大阪・関西万博は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献し、サステナビリティを重視する万博となることを明確に打ち出しています。会場の設計・建設から運営、そして閉幕後のレガシーに至るまで、環境負荷の低減と持続可能な社会への貢献が追求されます。

1. カーボンニュートラルの実現へ

万博会場の運営に伴う温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しています。

  • 再生可能エネルギーの最大限活用: 会場内で使用する電力は、太陽光発電や水素エネルギー、バイオマス発電など、再生可能エネルギーを最大限導入することで賄う計画です。
  • 省エネルギー設計: パビリオンや施設の設計において、断熱性能の向上、自然光の利用、高効率な空調・照明設備の導入など、徹底した省エネルギー化が図られます。
  • グリーン水素の活用: 水素エネルギーの中でも、製造過程でCO2を排出しない「グリーン水素」の活用が検討されています。燃料電池車への供給や、発電への利用が考えられます。
  • 排出量のオフセット: どうしても削減しきれない排出量については、他の場所での排出削減・吸収活動(植林など)によって相殺する「カーボン・オフセット」の仕組みも活用されます。

2. 資源循環の推進(3R + Renewable)

廃棄物の発生抑制(Reduce)、再利用(Reuse)、再生利用(Recycle)の3Rに、再生可能な資源への代替(Renewable)を加えた「3R + Renewable」の考え方に基づき、資源の有効活用と廃棄物削減に取り組みます。

  • 建設資材のリユース・リサイクル: 会場の建設にあたっては、リサイクル資材や、会期終了後に再利用可能な建材が積極的に採用されます。木材の活用も推進されます。
  • 食品ロス削減: 会場内のレストランや店舗では、需要予測に基づく食材管理の徹底や、食べ残しを減らす工夫、堆肥化などにより、食品ロスの削減に取り組みます。
  • プラスチック対策: 使い捨てプラスチックの使用削減、リサイクルしやすい素材への転換、マイボトル・マイ容器利用の推奨などが進められます。
  • 来場者への啓発: 来場者に対しても、ごみの分別徹底や、環境に配慮した行動を呼びかけます。

3. 生物多様性の保全と自然との調和

会場となる夢洲は人工島ですが、緑化や水辺空間の創出を通じて、生物多様性に配慮した環境づくりが行われます。

  • 緑豊かな会場計画: 会場内には多くの樹木や草花が植えられ、緑豊かな空間が創出されます。地域の生態系に配慮した在来種の導入も検討されます。
  • 水辺環境の活用: 海に面した立地を活かし、水辺のプロムナードや親水空間が整備され、人々に憩いの場を提供するとともに、水生生物の生息環境にも配慮します。
  • 環境教育プログラム: 会場内で、生物多様性の重要性や自然との共生について学べるプログラムや展示が企画されます。

4. サステナブルな調達

会場で使用される物品やサービス(食材、建材、ユニフォーム、グッズなど)の調達にあたっては、環境負荷、人権、労働環境などに配慮した「サステナブル調達コード」を策定し、サプライヤーにも協力を求めています。

これらの取り組みを通じて、大阪・関西万博は、持続可能な社会のモデルケースを世界に示すことを目指しています。来場者は、未来技術に触れるだけでなく、サステナブルな取り組みを目の当たりにし、自らのライフスタイルを見つめ直すきっかけを得ることができるでしょう。

まとめ:技術と持続可能性が織りなす未来

第4回では、大阪・関西万博を彩るであろう先端技術の数々と、万博全体を貫くサステナビリティへの強い意志について解説しました。空飛ぶクルマやAIロボットといった未来技術は、私たちの生活を大きく変える可能性を秘めていますが、それらは地球環境との調和や、持続可能な社会の実現という大きな目標の中で活用されてこそ、真に「いのち」を輝かせる力となるはずです。万博は、技術革新と持続可能性という、現代社会の二つの重要な潮流が交差する場所となるでしょう。

いよいよ次回は最終回。第5回では、万博を実際に訪れる際のアクセス方法やイベント情報、そして万博が閉幕した後に残される「レガシー(遺産)」について、詳しく見ていきます。万博体験を最大限に楽しむための情報と、万博が私たちの未来に何をもたらすのか、最後までお付き合いください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です