2024年11月21日

世界に誇れる日本の鉄道④ ~続 “鉄道”という稼ぐ事業~

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日本の鉄道会社は鉄道以外の多様な事業を展開することで利益を上げており、世界的には特異な状況です。阪急や東急は成功例で、鉄道事業の売上は全体の3割に過ぎません。JR九州も他事業の利益で鉄道事業を支えています。

landscape view of railway station during sunrise

Photo by Stefan Gabriel Naghi on Pexels.com

前回は“鉄道事業”についてお話しましたが、中途半端なところで終わってしまいましたので、続きをお話したいと思います。

世界的には鉄道事業は国営か国有が基本で、大体の国では不採算の事業だとお話しました。しかしながら、日本ではJRの上場4社と私鉄大手16社が乱立(?)していて、それはそれぞれの会社がしっかりと利益を出している世界的には特異な状況だということなんです。
なぜそんなに利益を出せるんでしょうか? 答えは簡単! “鉄道事業だけ”でもうけを出そうとしていないからなんです。まずはバスから始まって、駅ビルやショッピングセンター・ホテル・不動産・レジャー・広告・飲食・旅行・建設など多彩な事業を展開ています。例えば、すでに戦前にこの仕組みを編み出したのが“阪急”です。ターミナル駅には“阪急百貨店”を建てて、郊外には“宝塚歌劇”を作って、ホテルは“阪急ホテルズ”(今は阪急阪神第一ホテルになりました)に、沿線の住宅開発もして“阪急バス”を走らせて、“阪急不動産”が販売して、旅行に行くなら“阪急交通社”… もう沿線住民はがんじがらめですね。依存してしまっていると言っても過言ではありません。阪神なんかは、余っている高架下のスペースでレタスの栽培も始めちゃいましたしね。西で言うと“阪急”、東では“東急”が特に成功した例ではないでしょうか。この2大グループにいたっては、鉄道の売上は3割しかありません。ちなみに、JR九州の鉄道事業は、民営化以来ずっと赤字です。近年は天災の被害が多く、黒字化はさらに遠のいています。ですが、その他のグループ事業で稼ぎまくっていますので、しっかり黒字を出して上場を果たしました。逆を言うと、グループ事業の利益で赤字の鉄道事業を支えているといえるかもしれませんね。
 新幹線と飛行機のどちらが多く使われているか、と話題に上がることがあります。よく“4時間の壁”とか“700㎞の壁”と言われているのはご存知ですか? “4時間を切れば新幹線が有利”とか“700㎞を超えると飛行機の勝ち”と巷ではよく言われています。この法則が正しいのか否かは賛否あるのですが、700㎞あたりの東京~広島は飛行機の勝ち、新幹線で2時間21分の東京~新大阪は新幹線の圧勝、ってな具合です。鉄道を利用する回数は日本はぶっちぎりですが一回当たりの距離は短い、というお話を以前しました。これは、距離や時間によって飛行機か新幹線か在来線かを選べるということなんです。長距離は飛行機、中距離は新幹線、短距離は在来線か車と。さらに、短距離は車よりも鉄道を選びがちというところも、日本独特の傾向です。これは、JRや私鉄や地下鉄の膨大な鉄道ネットワークがあるからこそ成しえたと言えるのです。

はじめは3回に収めようと思っていましたが、つらつらと書いているうちに長くなってしまいました。“遅れ”“輸送人員”“鉄道事業”の3つの視点から日本の鉄道のすごさをお伝えしましたが、まだまだすごいところは山のようにあります。ちょっとマニアックな視点になるかもしれませんが、これからも温かい目でお願いします。

では、また!

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