分岐器

世界に誇れる日本の新幹線のすごさとよわさ⑤ ~たかが分岐、されど分岐~

“最高営業速度”“線路”の切り口から新幹線の弱さをお話しましたが、次は新幹線の“分岐(ポイント)”における弱さをお話していきますね。

東京駅や新大阪駅のような始発駅にはホームが何面もあり、たくさんの列車が入線して停車し、そして“ゆっくりと”発車していきます。途中の停車駅の大きな駅以外でも、“ゆっくり”と発車していきます。基本的な新幹線の駅の構造は、真ん中には通過していく列車のための直線の線路が、手前のホーム側にはその通過列車を避ける待避線と乗り降りするためのホームを兼ねた線路があります。この基本的な構造の駅で気付くことはありませんか? そうです、ホームに入ってくる時も、出発して行く時も、“ゆっくり”と走行して、スピードアップをしていく列車はいないのです。理由は簡単、駅の直前直後に設けられている分岐があるからなんです。しかも、スピード狂の新幹線らしからぬ“制限速度70㎞”なんですよ。駅を出入りする長い編成の新幹線が、うねうねと進んでいるのを思い出せるかと思います。あの光景は、“高速”と謳っている高速鉄道ではありえないんです。世界でも日本の新幹線くらいなもんです。
高速運転のジャマをする速度障害を出来る限り排除することが、高速鉄道の基本です。ですので、時速320㎞のスピード全開で疾走していたい新幹線に、制限速度70㎞とは残念な話ですね。フランスの高速鉄道のTGVでは、“65番分岐器”というものが使われていて、なんと“速度制限220㎞”! 分岐を本線から外れていく時にでも時速220㎞まで出せるとは、大したものです。実は、日本の新幹線でもTGVの時速220㎞とはいきませんが、“速度制限160㎞”の分岐があります。“38番分岐器”と呼ばれていて、長野オリンピックの開催に合わせて開業した当時の長野新幹線の群馬県の高崎駅あたり、今の北陸新幹線と上越新幹線の分岐に設置されています。その後、全国の新幹線に導入されていき…ということもなく、今でも多くの新幹線の駅では制限速度70㎞が残っています。その分岐器の可動部はなんと1,400mもありますから、東京駅や新大阪駅のようなところに設置するのは現実的ではありませんね。これがスピードアップの障害となっていますが、一度作ってしまった鉄道設備を変更するのはとてつもなく大変なようです。

海外の高速鉄道のトンネルよりも断面積が小さかったり、列車同士のすれ違いの距離も近かったりと、高速化を阻む障害がいくつもあるんですが、次回はそれらについてお話する予定です。

では、また!

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